9月17日オレンジカフェを開催しました

 9月17日(水)オレンジカフェを開催しました。今回の講師は我がけやき薬局薬剤師の 大塚 美佳 です。
テーマは「となりのトトロ」に見る病と家族~結核とともに生きる時代~ です。 

 「となりのトトロ」にでてくるさつきとメイのお母さん、結核で入院しているってご存知でしたか?
宮崎駿監督のインタビュー記事から、さつきとメイ(草壁家)が引っ越してきた理由や引っ越し先の家の様子を読み解いていきました。
草壁家の家は高台の日当たりのよいボロ家。お父さんの書斎は洋室で、生活の部屋は和室です。これは前の住人が結核を患い、日当たりのよい洋室で養生していたのでは、と考えられます。実は洋室と和室はつながっておらず、少し離れていることからも、隔離が必要だった様子がわかります。お母さんの結核治療のためにも、日当たりが良くて空気がきれいなこの家を選んだのでしょう。というのも、結核が流行した当時、「日光療法」が良いとされていました。同じ宮崎駿監督の「風立ちぬ」にも結核を患った「なおこさん」が登場します。寒い中、「結核病棟」で頭巾をかぶって日光治療をしている様子が描かれています。

「となりのトトロ」「風立ちぬ」紹介

 

 結核が大流行してから死亡数が急激に減ったのは、第二次大戦後抗生物質「ストレプトマイシン」という薬が開発されたためです。「となりのトトロ」はこの薬が開発された転換期ころのお話とされているので、エンドロールではお母さんが無事退院した様子が描かれています。

 現代でも結核に感染することはあります。発症者の6割が70歳以上の方だそうです。これは、若いころに感染した方が年とともに免疫力が低下したためだと考えられます。
 子どものころBCGという予防接種をしたと思いますが、年によって種類が違うことをご存知でしょうか?!昭和33年~42年は右に天然痘、左にBCG。両腕に丸い注射のあとが残ります。42年~BCGは9個の針のハンコ注射になります。51年~は天然痘接種が終了するので右腕に注射のあとはありません。ここでキャンディーズの「暑中お見舞い申し上げます」のジャケット写真が登場!けいちゃんの腕にうっすら丸い注射のあとがあるではありませんか!…歳がわかっちゃいますね(汗)参加者の方からも「丸いあとあるよ!」と声が上がりました。

 今、結核に感染したらどうしたらよいでしょう?今は薬でよくなります。ただ、粉薬とと10錠くらいの薬を一回に飲む、を6~9ヶ月続ける必要があります。自己判断で薬をやめるたりせず、正しく飲み切ることが大切です。また、咳やくしゃみなどで感染が広がるので、普段から咳エチケット、マスクの使用が感染予防になります。

 
 結核の流行から現代の治療法まで、「となりのトトロ」「風立ちぬ」そして「キャンディーズ」まで登場して、わかりやすくお話してくれました。(個人的にはトトロの小ネタが面白かったです。実はトトロの家にある壺は縄文時代に作った縄文土器なんです!とか!)
参加者の方からは、予防接種つながりで「帯状疱疹の予防接種は打った方がいい?」など質問も上がりました。薬剤師さんならではの視点で結核のこと、それにまつわるためになるお話でした。

次回は10月15日(水)暮らしの保健室です。

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